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2007.09.10

生きる

土曜、日曜の夜9時から、テレビ朝日で黒沢明監督作品のリメイク番組があった。

土曜日は「天国と地獄」、日曜日は「生きる」

最近、ドラマはどれもこれも面白くないというか、薄っぺらいような気がして観ていなかったのだけど・・・

土曜日は「オーラの泉」の続きで、「天国と地獄」をなんとなく観てしまった。

 

町のどこからも見える丘の上の豪邸に住む大金持ちの男(佐藤浩市)が、自分の人生をかけた勝負に出ようとしたとき、息子を誘拐したと言う電話が入る。

実は誘拐されたのは息子ではなく運転手(平田満)の子供で・・・

映画は、身代金の受け渡しに電車を利用する場面が有名だった。

このドラマは映画を見ていないので、対比することは出来ない。

 

久しぶりに、集中できるドラマだった。

硝子の使い方が印象的。

美しい小樽の町も、絵葉書的でなく、陰影が出ていて良かった。

刑事役の阿部寛はゆっくりと歳を取っていて、こういう役が似合う人になった。

犯人役の妻夫木聡は、美形なんだけどどこか退廃的で、なかなか良かった。

ただ・・・犯人の職業には少々違和感がある。

医学研修生なら、今時、丘の上の金持ちの息子しかなれない。

もしくは、丘の上への切符を手にしている。

黒沢監督はこの犯人をどう描いたのだろう?

映画を観たくなってしまった。

惜しむらくは、ちょい役の漁師にまで気を使って、これでもかと芸達者を集めていたようだけど、ずっしりと魂に響くものが無かった。

  

その魂に響かないと言う点は、日曜日の「生きる」も同じで・・・

 

黒沢監督の「生きる」は、昔、観た。

時間潰しに入った古ぼけた映画館。

期待していなかったのに、映画館を出るときには涙で顔がぐしゃぐしゃになっていて、早々に帰った覚えがある。

その後しばらく、その映画のことを考えては、自分のいい加減な生き方に腹立っていた。

あれは、魂を揺さぶられる映画だった。

あの志村喬の目の輝きが今でも胸に残る。

たぶん、私の中ではベスト・・・・・

 

それに比べると・・・いや、比べてはいけないのかも。

芸達者を揃えて、彼らはそれぞれに自分の役をしっかりと演じている。

もし、黒沢監督の「生きる」を観ていなかったら、きっと、私は涙しただろう。

だけど、死が隣り合わせにあった戦後間もなく作られた白黒映画と、飽食の時代・死をまともに見つめたことの無い時代に作られたフルカラーのドラマでは、「生」の意味が違っている。

その違いは、埋められない・・・・

 

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母が病院から、後、数週間しか持たないと帰され、自宅で死を待った日々。

私は実家に行っては、母の枕元に座っていた。

もう、食べることも飲むことも出来なくなった母は、時折、痰を取ってあげればよいだけで、ほとんど手がかからなかった。

私は義姉が出かけて二人きりになったときには、枕元で歌を歌った。

童謡や昔の歌謡曲、賛美歌まで・・・

「生きる」のなかで、主人公が歌った「ゴンドラの唄」も、そのひとつ。

 

 命短し 恋せよ乙女

 紅き唇 褪せぬ間に

 熱き血潮の 冷えぬ間に

 明日の月日は 無ひものを

 

母は、その歌を聴きながら、うとうとし、そして、そのままの死を恐れるかのように、また、目を見開いて、私を見つめるのだった・・・ 

 

 

 

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「天国と地獄」 「生きる」  共にがっかりでしたね。 黒 澤明 が泣いてますね。 「七人の侍」等の侍シリーズのリメイク版は イメージを大きくそこなうのは必定か?     悲しいですね。 ... [続きを読む]

受信: 2007.09.10 13:23

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