« 平安あん | トップページ | ほんの話 »

2005.06.07

信太の猫

2060506x「なんか、腫れ、引いていないような気がするんですけど・・・」
「引いてるよ」
「・・・そうですか?」
「昨日はもっと、張りがあった」
「・・・・・・」
「完全に引くには一週間は掛かるね」

今度の歯科医は無愛想だ。
でも、受付の子はとっても可愛くて愛想が良い。
前の歯科医院の受付の子は、はっとするような美人だったが、最悪に愛想が悪かった。
そのぶん、やけに医師は愛想が良かった。
――ああ、私はあの愛想の良さが心地よかったのだな。

というわけで、私は未だ、平安美人だ。
とりあえず、仕事もレッスンも断って、貴族の姫君のように、家に閉じこもっている。
わらわに会いたくば、まず、手紙(メール)を、会うのはそれからじゃ、状態。

何もしないで家にいるのは久しぶり。
したいことは山とあるのだが、下を向くだけで、顎がズキズキし始めるので、何も出来ない。
本もパソコンも集中しようとすると、顎が自己主張し始める。
とにかく、疲れることは一切してはならぬと、顎からおふれが出ているらしい。

こんなことでもないと休めないので、これも良い休養なのかも。
齷齪したところで、成るものは成るし、成らぬものは成らぬ。
雨露を凌げて、食うに足りているなら、文句は無い。
――あ、私って猫並み?

猫と言えば、何年か前、葛葉神社に行ったときに、巨大な白猫にあった。
猫は葛葉神社の休憩所の腰掛に寝そべり、参詣する人々を眺めていた。

私達が葛葉の末裔と知り、神主さんが正殿に入れてくださった時、猫もついてきた。
私達が座ると、当然のように、猫は私の膝に上がった。
その様子を見て、神主さんは、
「その猫は、どこから入るのか、よく、この正殿の中にいるのですよ。
ここが好きみたいです。
あまり、人になつかないのに・・・この猫がそんなに人になつくなんて・・・」
猫は下ろそうとしても、私の膝にしがみ付いて下りなかった。

私も兄姉もずっと、その猫が葛葉神社の猫だと思っていたのだが、神主さんの説明では
「どこの猫かわからないのですよ。ずっと、この境内にいます。
誰かにご飯を貰っているのか、ご覧の通り、体格も毛並みも良いのですが・・・
近所の人も、どこの猫か知らないと言うのです」
まるで主のようにどっしりと構えている猫がここで飼っている猫ではないといわれて驚いた。

猫は私達が話を聞いている間中、私の膝でごろごろ喉を鳴らし、話が終わると皆に先立ち、すうっと正殿から出て行った。
うっそうとした楠木の大木の下には金色の夕日が差し込んでいたが、その光が届かないところは闇が深くて、猫の姿を見つけることは出来なかった。

以来、私は、あの猫が狐の化けた姿なのだと想像したりする。
狸は良く捕まるし、人家に餌を貰いに来たりするけど、狐の話はあまり聞かないものね。
きっと、ああやって、猫に化けて、好き勝手に動き回っているんだわ。
近所のあの猫も、実は狐が化けているのかもしれないわ。
そう思うと、なんか楽しくない?

――信太の森の猫は、とても神秘的な猫だったけど、まだ、あそこにいるのかしら?

c-rawumber ←さて、今日のブログランキングは?
 ポチっとしてね


ps:昨日、訂正があったので再保存したところ、二重投稿になっていました。
 ココログは最近とても重い上に、なんだか訳の判らない動きをします。

|

« 平安あん | トップページ | ほんの話 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/47656/4459828

この記事へのトラックバック一覧です: 信太の猫:

« 平安あん | トップページ | ほんの話 »