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2005.02.08

技脳と技能

昨日の「専門職と丁稚へのTB」に頂いたコメントを呼んでいて、思ったこと・・・

のこのこ10年丁稚をやってる間にその職業そのものがお払い箱になってる危険性が非常に増してます

と言うタツユキさんのご指摘で、ちょっと、考えてしまいました。

いろんな専門学校に通い、一度はその職業に就きながらも、辞めて別のスキルをあまり必要としない職業に就いている若者を数多く知っています。
かなりの授業料を払い手に入れた技術を、どうしてやすやすと手放すのか不思議でした。

ある美容院に勤めていた子は、そこを辞めて販売員の仕事をしています。
美容院に居た間は、一日の労働のあとに、自分の勉強をしなければならなかったのだそうで、手も荒れるし、友達と休みの一緒にならない、そう言う職業に彼女は疲れ果てていたようです。


それとは別に、経営者のほうから洩れ聞こえる話も有ります。
つまり、その職種の学校を出ただけでは実践では使えないということ。

専門学校では技術者を大勢育成しますので、教えられるのは仕事の技術だけ、個々の現場には合わないやり方を教えざるを得ません。
現場では、技術だけがあれば良いわけではなく、多くの雑用が有ります。
それをこなしつつ、技術も他と競合していかなければならない、結構大変な仕事です。

私の知っている美容師さんは自分で店を経営しています。
私と変わらない年なので、まあ、おばさんです。(ごめんね)
おばさんのところには私のようなおばさんが何十年と通っていますので、彼女の美容室は安泰です。
それでも、彼女は今でも勉強を続けていて、講習会に出てはいろんな知識や新しい技術の勉強をしています。
彼女の時代、美容師になるには専門学校に行った後、美容院に住み込みで入り、そこの子供のお守りから、食事の支度、掃除、洗濯をして、その先生の持っていた技術を学ぶものだったそうです。
そう言う境遇に堪えることで、ちょっとやそっとのことではめげない強靭な精神力を手に入れ、今の彼女があるわけです。

彼女のようになれば、手に入れた資格は一生もの。
どんな場所に居ても、使い捨てされない自分になるためには、そこで粘り、頭角を現すことが出来る精神力が必要です。
とんでもない才能や目を見張るような技術を持っていない限り、こつこつと自分の居場所を作っていくことでしか、生きていけません。
これがいやだ、あれがどうもと、転職を繰り返していると、ある日、年齢制限でどこにもいけない自分を知ることになります。

昨日のエントリーで

何かを人に習うときには、その技術なり知識を持った人に対する尊敬と畏怖が無ければ、その知識なり技術なりをきちんと受け継ぐことは出来ません

と私が書いたのは、専門学校で大勢を相手にした教師に習うのと、現場の先輩に付いて、技術に驚嘆し、知識を尊敬して身に付けたものとは自ずと違うと言いたかったからです。


それと、インターネッ関連トのように身体能力を必要としない技脳(ちょっと変?)と、美容師や理容師、調理師のようなそれを必要とする技能とは、明確に分けて考えなければなりません。

技能においては繰り返しそれを続けた愚者が、怠けている天才を超えられます。
技脳は技術ではなく、才能・ひらめ・知識の蓄積のよる発想です。
ひらめきであれば、3歳の子供が30歳の青年を超えることも可能です。
これには精神力も鍛錬も必要ないのです。
それをひとつの技術と言う言葉で括るので、噛みあわない議論になるのでは思います。

で、最初の話に戻ります。

特に元手が安くて利益率の高い寿司職人や理容師など。
街を歩いたらそこ等中美容院やら歯科医だらけじゃあ・・・

これらの職業が、果たしてお払い箱になるでしょうか?
人類が今の形態で居る限り、お腹はすくし、髪は伸びるし、髭は伸びるし、歯は虫歯になるのではないでしょうか?
確かにどんどん安価にはなっていくかも知れせんが、人間が肉体に閉じ込められている限り、この職業は必要とされると思います。

問題なのは技脳のほうです。
これは本当に日進月歩、どんどん、変わっていきます。
さっき書いたように、知識の蓄積は必要でも、これには肉体的な鍛錬はいらないのです。
ま、脳も肉体の一部といえばそうですし、キーボードを早く打つとか、強靭な体力とかは必要でしょうけど・・・

技脳には、別の考え方をしなければなりませんが、まだ、この分野自体が発展途上なので、今、これに携わっている人たちがその訓練の方法(発掘の方法といったほうが良いかもしれませんね)を編み出していかなければ無ければなりません。
「そんなもん誰でも出来るがや」(名古屋版) というのは間違いです。
子供は記憶を持って生まれないのですよ。
利用することは可能でも、仕組みを理解しているとは限りません。
仕組みを知らなければ、その技脳も受け継がれません。


まだ、私の頭の中で練り切れて居ない部分や、書き足らない部分もあるような気もしますが、今日は出かけなければならないので、これで、辞めますね。それでは・・・

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コメント

タツユキさん、コメントありがとうございます。

ダビング体質とは面白いですね。
確かに、日本人にはそう言うところがあるようです。
そうすることで、今までは成功してきたのではと思います。

このことについては考えていることがありますので、二・三日中に新たにエントリーさせていただきますね。

投稿: maki kuzuha | 2005.05.24 09:38

返事が遅くなって申し訳ありません(。。;

>特に元手が安くて利益率の高い寿司職人や理容師など。
>街を歩いたらそこ等中美容院やら歯科医だらけじゃあ・・・

なぜコレをとりあげたのかというと
・人の生活として定番で、そうそうなくならない職業で
・それなりに高収益が期待できる(ようにみえる)
・人から注目を受け、一目おいてくれる
とみられるものは、ふとしたきっかけで希望者が集まりすぎるんですよ。
そうなると過当競争が起こり、結果としてごく一部の上位者以外は苦しむってことになるのです。

そしてこのダンピング体質は日本の産業界が伝統的に抱える難点でして…

投稿: タツユキ | 2005.05.24 04:07

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